記憶喪失の乙しえ

この子は誰なんだろう。

名前は教えてもらったし匂いや

見た目はどこか懐かしいのにわかんないや。

ずっと傍で私が記憶喪失になる前に

何かやらかしたのか警察とかを警戒してくれている。

どうしてそんなに世話してくれるのか尋ねたら

「ほっとけるわけないだろ。ばか。」って

言われて何か思い出せるような気がしたけど

結局思い出せなかったんだよね。

でも思い出せないままでもいい気がする。

この子には迷惑かけちゃうけどなんだか楽しい。

普通ってこんな感じ楽しめるんだーって

自分でもよく分かんないんこと思うから。

よっぽど前の私クレイジーだったのかもしれない。

前の私と今の私どっちも面倒だろうにしえなちゃんってばよくあたしなんかと一緒に居るよね。ん?

「しえなちゃん…?」

「その呼び方?!思い出したのか武智?!」

「えっああうん、久しぶりーやっほー」

記憶喪失だった頃のあたし剣持さんって

呼んでたの控えめに言ってウケる。

「このバカぁ!どれだけ大変だったか!

心配だったかわかるか?!」

「うん、ごめん」なんだか小さくなった背中を優しめに抱きしめた。そうしないとどこか消えてっちゃいそうなほどか弱くて。しえなちゃんってこんなに華奢だったんだな。

「…武智のばか…とりあえず言いたいこと色々あるけど許してやるから僕のそばを離れるな。また僕のこと忘れたら承知しないんだからな。」

「うん、ありがとう。ハッピーエンドだね。ハッピーエンドは王道だけど以外に大変なんだからね。よかったよ。本当に。」

「大好きだよ。しえなちゃん。ありがとね。」